背に腹は替えられぬ(せにはらはかえられぬ)
背に腹は替えられぬ
山村に住む若い男、健一は家族のために一生懸命働いていた。しかし、その村では仕事が限られており、収入も少なく、家族を養うのは容易ではなかった。健一の妻、美智子は病気がちで、医者に診てもらうお金もなく、日々の生活は困窮していた。
ある日、健一は町の商人からある提案を受けた。それは、山の向こうにある鉱山での仕事だった。収入は確実に増えるが、その仕事は非常に危険で、多くの労働者が命を落とすという噂があった。
健一は悩んだ。家族を守るためには、お金が必要だ。しかし、自分がその仕事で命を失えば、家族はどうなるのか。彼は迷い、心の中で何度も問いかけた。
しかし、妻の病状は日に日に悪化していき、医者の助けがなければ命も危うい状態に。健一は「背に腹は替えられぬ」と自らに言い聞かせ、ついに危険な鉱山で働く決意をした。
「家族のためなら、俺の命なんて惜しくない」と、健一は鉱山へと向かった。
鉱山での仕事は予想以上に過酷だったが、健一は毎日懸命に働いた。彼は家族の笑顔を思い浮かべながら、自分を奮い立たせていた。幸運にも、彼は怪我をすることなく無事に働き続け、ついに十分な金を手に入れることができた。
村に戻った健一は、すぐに医者を呼び、妻の治療を始めた。美智子の容態は徐々に回復し、家族は再び平穏な生活を取り戻すことができた。
健一は、危険な道を選んだ自分を責めることなく、家族を守るために最善を尽くしたと自分に言い聞かせた。彼はこれからも「背に腹は替えられぬ」という言葉を胸に刻みながら、生きていくのだった。
ことわざから小説を執筆 #田記正規 #読み方
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