精神一到何事か成らざらん(せいしんいっとうなにごとかならざらん)
精神一到、何事か成らざらん
中山真理は、幼いころから絵を描くことが好きだった。色鉛筆を手にし、白いキャンバスに夢中で色を塗り重ねていると、時間があっという間に過ぎてしまう。しかし、彼女が高校を卒業するころ、家族は彼女の夢を現実的ではないと考えていた。
「絵なんて食べていけるわけがない。もっと安定した道を選びなさい」と、両親は真理に何度も言い聞かせた。現実の壁は厳しかった。彼女の家は裕福ではなく、絵の学校に通う余裕もなかった。だが、彼女の心の中には絵を描くことへの強い情熱が燃え続けていた。
「どうしても画家になりたい」と決意した彼女は、昼は会社員として働き、夜は自宅で絵を描く日々を送ることにした。会社では疲れ切った身体を引きずりながらも、仕事が終わると彼女の心は再び色彩に溢れた世界へと向かった。
数年が過ぎた頃、彼女の作品が少しずつ認められるようになった。地元のギャラリーでの展示会に出品された絵が注目され、ある日、アートディーラーが彼女に声をかけてきた。
「君の作品には強い意志と情熱が感じられる。このまま努力を続ければ、大きな成功を掴めるだろう。」
その言葉に、彼女は大きな勇気をもらった。さらに努力を重ね、時間を惜しまず、あらゆる技術を学び取った。やがて彼女の名前は、地方から都会へ、そして全国に広がっていった。
最終的に、彼女の絵は国際的なアートフェスティバルで金賞を受賞した。その瞬間、彼女はかつて両親に反対された日々のことを思い出した。そして、絵を描き続けた自分の意志の強さに感謝した。
「精神一到、何事か成らざらん」と、真理は心の中で呟いた。全ての努力が報われた瞬間だった。彼女は、自分の夢を追い続けたその強い精神力こそが、どんな困難も乗り越える原動力となったのだと実感していた。
ことわざから小説を執筆 #田記正規 #読み方
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