虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)

 大学の友人・健太と真司は、いつも成績についてお互いをけなし合うような関係だった。健太はテストで60点を取り、「この科目は難しいからしょうがない」と自分を正当化し、真司も55点を取って「俺もまあまあじゃないか」と胸を張っていた。


ある日、大学の教授が「五十歩百歩」という言葉について話を始めた。「この言葉は戦場で逃げる兵士たちの距離を表したものです。五十歩逃げた者が百歩逃げた者を笑ったとしても、結局は同じ逃げていることに変わりない、と言われます」と説明した。


授業が終わると、健太と真司は思わずお互いを見て笑い合った。「なんだ、俺たちも似たようなものか」と健太が言うと、真司も「いや、ほんと。50点も60点も大差ないよな」と苦笑した。二人は結局、お互いを競い合うのではなく、励まし合いながら次のテストに向けて本気で勉強することを決意した。


その後、二人とも少しずつ点数を上げ、次のテストでは健太が80点、真司が78点を取るまでになった。競い合うことで成長した二人は、「五十歩百歩」を「切磋琢磨」に変えていく。



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