所変われば品変わる(ところかわればしなかわる)

 風光明媚な田舎町、ユリノハナ村に住むアヤは、都会の大学に進学することになった。ユリノハナ村は彼女にとって全てであり、都会の生活は想像もつかない未知の世界だった。アヤは不安を抱えながらも、新しい環境での生活に胸を躍らせていた。


大学の初日、アヤは驚きの連続だった。都会の大学はまるで別世界で、見慣れない建物、慣れない電車、そして多様な価値観を持つ人々が溢れていた。彼女は少し圧倒されながらも、新しい友達を作ることに挑戦した。


ある日の授業後、アヤは友達のミカと一緒にカフェでお茶をすることになった。カフェに入ると、ミカはさっとメニューを見て「ラテとサンドイッチをお願いします」と注文した。アヤもメニューを見たが、ユリノハナ村では見かけない料理や飲み物が多く、戸惑ってしまった。結局、アヤも同じものを注文した。


二人はカフェで会話を楽しんだが、アヤは都会の生活にまだ慣れていない自分に少し落ち込んでいた。「所変われば品変わる」とは、場所が変わると習慣や風俗も変わるという意味のことわざだが、アヤはその言葉を実感していた。


その夜、アヤは寮の部屋で故郷のことを思い出し、少しホームシックにかかった。彼女は母親に電話をかけ、都会の生活について話した。母親は優しく彼女を励まし、「どこに行っても、自分らしくいることが大切よ。新しいことを学ぶのは良い経験になるわ」と言ってくれた。


翌日、アヤは決意を新たにし、大学のサークル活動に参加することにした。彼女は料理サークルに興味を持ち、そこで田舎の料理を紹介することにした。ユリノハナ村の特産物である山菜や地元の野菜を使った料理を作り、サークルの仲間たちに振る舞った。


サークルの仲間たちは、アヤの料理に驚きと感動を示した。「こんな美味しい料理、初めて食べたよ!」「どこでこんな材料を手に入れたの?」と、みんなが興味津々に彼女に質問した。アヤは自分の故郷について話し、ユリノハナ村の美しい自然や人々の温かさを紹介した。


アヤは次第に都会の生活に慣れ、新しい友達と共に楽しい時間を過ごすようになった。彼女は「所変われば品変わる」ということわざを実感しつつも、新しい環境でも自分らしさを大切にすることの重要性を学んだ。


数ヶ月後、アヤは都会での生活にすっかり馴染み、自分の故郷と都会の良いところをバランスよく取り入れた生活を送るようになった。彼女は「所変われば品変わる」という言葉を胸に、新しい経験を積み重ねていった。そして、その経験は彼女をより成長させ、自信に満ちた女性へと導いていった。


アヤの物語は、ユリノハナ村と都会の両方で語り継がれ、新しい環境での適応と自己成長の大切さを教えるものとなった。



ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方

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