毒を食らわば皿まで

 静かな山村、ミドリ谷には、美しい自然と共に暮らす人々がいました。村の青年、シンジはその中でも特に好奇心旺盛で、未知の世界に憧れていました。彼は村の図書館で古い書物を読み漁り、遠くの土地や伝説に心を奪われていました。


ある日、シンジは村の古い書物の中で、禁断の薬草「黒蛇草」についての記述を見つけました。この草は強力な毒を持ち、飲んだ者は死に至ると言われていましたが、同時にその解毒剤を作る方法も書かれていました。シンジはその薬草に強く興味を持ちましたが、同時にその危険性も理解していました。


「毒を食らわば皿まで」とは、一度始めたことは最後までやり通すべきだという意味のことわざです。シンジはこの言葉を胸に刻み、黒蛇草の研究を進めることを決意しました。


ある日、シンジは深い山奥で黒蛇草を見つけました。彼は慎重にそれを採取し、村に持ち帰りました。シンジは解毒剤の作成に取り組みましたが、その過程は非常に困難でした。彼は何度も失敗し、危険な状態に陥ることもありましたが、諦めませんでした。


シンジの努力は次第に実を結び、ついに解毒剤の完成に至りました。彼はその解毒剤を試すため、自ら黒蛇草の毒を飲みました。強烈な痛みが体を襲い、彼は一瞬死を覚悟しましたが、解毒剤を飲むと次第に痛みは和らいでいきました。シンジは生き延びることができたのです。


その後、シンジは村の人々にこの薬草と解毒剤について説明しました。村人たちは彼の勇気と知恵に感謝し、シンジを村の英雄として讃えました。シンジの行動は「毒を食らわば皿まで」ということわざの完璧な実践例となりました。一度危険な道を選んだら、その道を最後までやり通す覚悟が必要だという教訓を、村の人々に示したのです。


シンジの研究はその後も続き、彼は他の薬草についても研究を進め、数々の薬を開発しました。彼の知識と技術は村を超えて広まり、多くの人々を助けました。シンジの物語は、挑戦と覚悟の大切さを教えるものとして、村の伝説となりました。



ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方





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