塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)

 ある小さな村に住む若者、ショウは、夢と希望に満ち溢れていた。しかし、彼には大きな夢があったものの、何をどうすれば夢を叶えることができるのか、全く分からなかった。そんな彼にとって、毎日の生活は退屈であり、特に意味のあるものとは思えなかった。


ある日、ショウは村の長老、カンロクに相談に行った。カンロクは村で最も尊敬される人物であり、豊富な知恵を持っていた。ショウは自分の夢について語り、「どうすればこの大きな夢を実現できるのか、全く分かりません」と言った。


カンロクは静かに微笑み、「ショウ、夢を実現するには時間と努力が必要だ。大きな目標に圧倒されることなく、一歩一歩進むことが大切だ」と語った。


ショウは困惑し、「でも、そんな小さな努力が本当に意味があるのでしょうか?」と尋ねた。


カンロクは庭に咲く美しい花を指差し、「この花を見てごらん。この美しさも、一粒の種から始まったんだよ。そして、毎日の水やりや太陽の光、風の流れが積み重なって、今の姿になったのだ。『塵も積もれば山となる』ということわざを知っているかい?」


ショウは首を傾げた。「はい、聞いたことはありますが、具体的にどういう意味なのでしょうか?」


カンロクは説明を続けた。「小さなことでも、毎日続けていけば大きな結果を生むという意味だ。君の夢も同じだよ。毎日の小さな努力が積み重なれば、やがて大きな成果となるのだ。」


その日から、ショウはカンロクの言葉を胸に刻み、小さな努力を積み重ねることを始めた。彼は毎日少しずつ勉強し、体力を鍛え、村の人々を助けることで経験を積んだ。最初は些細なことに思えたが、時間が経つにつれて、彼の努力は次第に実を結び始めた。


数年後、ショウは村のリーダーとして成長し、多くの人々に影響を与える存在となった。彼の小さな努力の積み重ねが、村全体を活気づけ、発展させる原動力となったのだ。


ある日、ショウは再びカンロクを訪れ、「長老、あなたの教えが私をここまで導いてくれました。『塵も積もれば山となる』という言葉の意味を、ようやく理解しました」と感謝の言葉を伝えた。


カンロクは微笑み、「ショウ、お前は本当に立派になった。これからもその心を忘れずに、小さな努力を続けていけば、さらに大きな山を築くことができるだろう」と励ました。


ショウはその言葉を胸に、これからも毎日の小さな努力を怠らずに続けることを誓った。彼の姿勢は村の若者たちに希望と勇気を与え、「塵も積もれば山となる」ということわざの教えは、次の世代へと受け継がれていった。



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#田記正規 #読み方

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