竹馬の友(ちくばのとも)
昔々、小さな村にタケシとユウキという二人の少年が住んでいた。彼らは幼い頃から竹馬で遊び、一緒に成長してきた。二人は親友で、まるで兄弟のように何でも分かち合っていた。そのため、村人たちは彼らを「竹馬の友」と呼んでいた。
ある夏の日、タケシとユウキは村の近くの山へ冒険に出かけた。山の中には、美しい川や広い草原が広がっており、二人はそこで一日中遊んでいた。夕方になると、二人は山頂から村を見下ろしながら、将来の夢を語り合った。
「タケシ、将来は大きな船を作って、世界中を冒険したいな」とユウキは目を輝かせて言った。
「いいね、ユウキ!僕もその船に乗って、一緒に冒険に行こう」とタケシも同意した。
しかし、運命は二人を別々の道へと導いた。成長するにつれ、タケシは父親の農業を手伝うために村に残ることになった。一方、ユウキは大都市へと旅立ち、商人として成功を収めるための道を選んだ。
時が経つにつれ、二人はお互いに手紙を送り合い、友情を保っていた。しかし、忙しさに追われる中で、手紙の頻度も次第に減っていった。やがて、二人はそれぞれの生活に没頭し、連絡を取ることもなくなった。
ある日、村に大きな嵐が襲い、タケシの家は洪水で大きな被害を受けた。農作物も流され、家族は困窮した。タケシは途方に暮れていたが、心の中でユウキとの思い出を思い返し、勇気を奮い立たせた。
「ユウキがいたら、きっと助けてくれるだろう。でも、今は自分で立ち上がらなければ」とタケシは自分に言い聞かせた。
その頃、大都市で成功を収めたユウキは、ふと故郷の村のことを思い出していた。長い間連絡を取っていないタケシのことが気にかかり、手紙を書いてみることにした。
「タケシ、元気にしているか?村の様子はどうだろう?いつかまた会いたいな」と手紙には綴られていた。
手紙がタケシの元に届いた時、彼は涙を浮かべながらユウキの気遣いに感謝した。「ユウキ、君の手紙が届いたよ。僕たちの村は今、大変な状況にあるけど、君の言葉が力になった」と返信を書いた。
数日後、ユウキは手紙を受け取ると、すぐに村へ向かうことを決意した。大切な「竹馬の友」を助けるために、何よりも優先すべきだと感じたからだ。
村に到着したユウキは、タケシと再会し、彼の家族を助けるために全力を尽くした。ユウキの知識と資金を使って、村の復興を手伝い、再び笑顔を取り戻すことができた。
「竹馬の友」としての絆は、時間や距離を越えても変わることはなかった。タケシとユウキは再び一緒に過ごし、村の人々もその友情に感動した。
ことわざから小説を執筆 #田記正規 #読み方
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