月下氷人

 


月下氷人(げっかひょうじん)

意味

「月下氷人」とは、縁結びを取り持つ人や仲人を指します。この言葉の由来は、中国の唐の伝説に登場する月老(げつろう)と氷人(ひょうじん)という縁を結ぶ神や仲介役の人物からきています。結婚や恋愛において二人を引き合わせる存在を表すことわざです。


月下氷人の例え話

田舎町の小さな喫茶店「月光庵」。そこの店主、穂積さんは不思議な力を持っていると町で噂されていた。何の力かというと、「訪れた客同士の縁を結ぶ力」だ。


ある日、都会から帰省したばかりの青年・翔太が店を訪れた。対照的に、地元に住む女性・麻衣も同じ時間に入店してきた。二人は互いに知らない間柄だったが、穂積さんは何気ない会話の流れで二人を引き合わせた。


「おや、麻衣さん。翔太君も映画好きだったよね? ちょうど今、地元で評判の映画が上映中だけど、一緒に行ったらどうだい?」


突然の提案に二人は戸惑ったものの、断る理由もなく、穂積さんの笑顔に押される形で映画館へ足を運んだ。そこでの会話や出来事を通じて二人は意気投合し、やがて交際を始めた。


後に二人が結婚することになった際、穂積さんに挨拶に訪れた。

「穂積さんがいなければ、僕たちは出会うことすらなかった。本当に感謝しています。」

麻衣も頷きながら続けた。

「あなたはまさに私たちの『月下氷人』ですね。」


穂積さんは照れ臭そうに笑いながら、こう返した。

「縁というのは不思議なものでね、少し手を添えるだけで結ばれることもあるんだよ。でも本当に大切なのは、その縁をどう育てるかさ。」


月光庵には今日もまた、新しい縁が生まれようとしている。



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