一斑を以って全豹を卜す

 一斑を以って全豹を卜す(いっぱんをもって ぜんぴょうを ぼくす)

意味:

「物事の一部分から全体を推し量る」という意味。

特に、「ごく一部の情報から、全体の本質を見抜く鋭い洞察」として使われます。


ただし、時には「少し見ただけで早合点すること」への戒めとしても使われるので、文脈によってポジティブにもネガティブにもなり得る表現です。


語源と背景:

「豹(ひょう)」の斑点模様を少し見ただけで、それが豹全体の模様と推測できる、という故事成語です。

中国の『晋書(しんじょ)』にある言葉で、賢人のわずかな行動から、その人物の全体像が分かるという意味合いで使われました。


「斑(はん)」=斑点の模様

「卜す(ぼくす)」=うらなう・推測する


使い方(現代語訳つき):

「彼の一つの発言を聞いただけで、彼の志の深さが分かる」

 →「一斑を以って全豹を卜すとはこのことだな」


「最初の2ページ読んだだけで、これは名作だと分かった」

 →「一斑を以って全豹を卜すような直感だったけど、間違ってなかった」


「少しだけ見て全体を判断するのは早計だよ」

 →「一斑を以って全豹を卜すのは危険でもある」


小説アイデア:「豹の斑」

あらすじ:

本の装丁だけで全体の価値を見抜く、読書家の青年・周。

彼は出版社に「一行だけ読めば本の価値がわかる男」としてスカウトされる。

だが、ある日出会った無名作家の原稿の1行目は、空白だった。


「この作品、全体を読まなければ価値がわからない。」


「一斑を以って全豹を卜すことは、時に傲慢なのかもしれない」

周は初めて、全文を黙読し、涙を流す。



ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

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