羹に懲りて膾を吹く

 羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)

意味

一度の失敗に懲りすぎて、必要以上に慎重になりすぎること。

熱い羹(あつもの:熱い汁物)を食べて火傷した人が、冷たい膾(なます:酢の物)までフーフーと冷ましてから食べる様子から来ている。


語源と背景

羹(あつもの)は加熱された料理、膾(なます)は生の冷菜。

一度の火傷経験から、もう火の気のないものにも過剰に用心する様子を風刺した故事成語です。

もとは中国の古典『韓非子』に見られます。


ニュアンス

失敗を教訓にするのは良いが、極端な臆病さに転じてしまう様子


過去のトラウマや恐怖に縛られて柔軟な判断ができなくなる


ときに滑稽さや皮肉が含まれる表現


類似表現

虎穴に入らずんば虎子を得ず(対比的表現)


石橋を叩いて渡る(意味は近いが肯定的)


前門の虎、後門の狼(慎重になる原因の別表現)


使用例

「前回のプレゼンで失敗して以来、彼は全然発言しなくなった。羹に懲りて膾を吹いてるんだな」


「あの恋愛で懲りて、もう誰にも心を開かないなんて。羹に懲りて膾を吹くようじゃ、幸せが逃げるよ」


小説アイデア

タイトル:『なますを吹く女』


編集者・涼子は、かつて担当した新人作家の盗作騒動で、社内からも信用を失った。

それ以来、彼女はどんな新人にも厳しく、疑いの目を向けるようになった。

そんなある日、現れたのは、天才的な筆力を持つ無名の青年・相馬。

どれほど魅力的な原稿を持ってきても、涼子は素直に信じることができない。

それは、過去の火傷がまだ癒えていないからだった――

“なますを吹く女”が再び信じることを覚えるまでの、再生と赦しの物語。




ことわざから小説を執筆
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