悪貨は良貨を駆逐する

 悪貨は良貨を駆逐する(あっかはりょうかをくちくする)

意味

質の悪いものが、質の良いものを市場や社会から追い出してしまうこと。

本来は経済の理論ですが、人間関係や社会現象にもたとえられ、悪が善を駆逐するような事態を嘆く言葉として広く使われます。


語源と背景

16世紀のイギリスでトーマス・グレシャムが唱えた「グレシャムの法則」が元です。

**「額面が同じであれば、人々は質の悪い貨幣を使い、良い貨幣は貯め込んで使わなくなる」**という法則を、日本語ではこのことわざで表します。


例:金の含有量が多い硬貨(良貨)より、金の少ない硬貨(悪貨)を使いたがるため、良貨が市場から消えていく。


転用・比喩表現としての使い方

組織で、誠実な社員が追いやられ、ずる賢い人間が残る現象


芸術や文化の分野で、粗悪な娯楽や流行が本物の芸術を押しのける現象


SNSなどで、フェイクニュースが真実を隠す構造の批判


使用例

「最近のネットニュースは悪貨は良貨を駆逐するようなもので、真面目な記事が埋もれてしまう」


「社内の雰囲気も変わった。悪貨は良貨を駆逐するっていうけど、本当にその通りだ」


類語・対比表現

グレシャムの法則(同義)


小人閑居して不善を為す(質の悪い者がのさばる現象)


玉石混交(玉=良、石=悪の混在)


小説アイデア

タイトル:『駆逐の街』


高度なAI技術を育む都市「アルゴラ」。

かつては革新と倫理が調和した理想都市だったが、あるときから安価で粗悪な模倣AIが溢れ始める。

本物の技術者たちは「非効率」「時代遅れ」として排除され、質の悪いアルゴリズムが人間の判断を乗っ取っていく。

研究者・サヤカは言う。「これは、まさに“悪貨が良貨を駆逐する”世界だ」と。

人間の価値はどこにあるのか? 本物と偽物が入れ替わる社会の終焉と希望を描く近未来ディストピア。



ことわざから小説を執筆
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