投稿

5月, 2025の投稿を表示しています

壟断

 「壟断(ろうだん)」は、ことわざというより**熟語(四字熟語や漢語)**に分類されますが、その意味や使い道は明確です。 意味 壟断(ろうだん) = 市場・権力・利益などを独占して、他を排除する行為や状態のこと。 「壟(うね)」は畑の盛り上がった部分、「断」は切り取る意。 元は「壟を断つ」、つまり肥えた土地を独り占めするという意味から来ています。 転じて、権益・商売・情報などを一手に握る独占状態を批判的に表す言葉です。 使い道・使い方(例文) 1. ビジネスの独占に対して 特定の企業が政府とのコネで公共事業を壟断しているのは、公平性を欠く。 2. 政治・権力の独占を非難して 一部の派閥による政策決定の壟断が、民主主義を危うくしている。 3. メディア・情報の独占に 情報を壟断するプラットフォームの影響力は、ますます強まっている。 類義語・関連語 独占(どくせん) 専横(せんおう) 専制(せんせい) 覇権(はけん) 寡占(かせん)(少数による独占) 注意点 「壟断」はやや硬い言葉・書き言葉寄りなので、ビジネス文書、評論、報道、政治経済の文脈でよく使われます。日常会話では「独占してる」などの表現に置き換えた方が自然です。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

隴を得て蜀を望む

 隴を得て蜀を望む(ろうをえてしょくをのぞむ) とは、ひとつの望みが叶っても、さらに次のものを求めるという人間の欲の深さや際限のなさを表すことわざです。 意味の解説 「隴(ろう)」と「蜀(しょく)」は中国の地方名。 隴を手に入れても、さらに隣の蜀まで欲しくなるというたとえ。 一つを得ても満足せず、次から次へと欲しがる様子を非難した言葉です。 「際限ない欲望」を冷ややかに、または戒めとして使います。 使い道(例文) 1. 欲張りすぎて失敗する場面に 株で少し儲けたら、すぐにもっとリスクの高い投資に手を出すなんて、隴を得て蜀を望むとはこのことだ。 2. 人の欲深さを批判するとき 最初は部長で満足していたのに、今度は役員の椅子を狙ってるって?まさに隴を得て蜀を望むだな。 3. 自戒や忠告として使う 欲を出しすぎると足元をすくわれるぞ。隴を得て蜀を望むにならないように気をつけないと。 似たことわざ・表現 欲をかけば身を滅ぼす 足るを知る者は富む(老子) 二兎を追う者は一兎をも得ず(少し違うが、欲張りのリスクを表現) ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

論語読みの論語知らず

 論語読みの論語知らず(ろんごよみのろんごしらず) とは、知識としては学んでいても、その意味や精神を理解しておらず、行動に活かせていない人を揶揄することわざです。 つまり、「知ってるだけで、わかってない」「頭でっかちで実践できてない」ことを批判するときに使います。 意味のポイント 「論語」は儒教の経典であり、道徳や人間関係を説いた書物。 「読む」ことはしていても、本質を理解せず、実生活で行動できていない人を指します。 知識偏重で実践が伴わない様子への皮肉や批判として使います。 使い道(例文) 1. 行動が伴っていない人を批判するとき 彼は道徳の授業では立派なことを言ってるけど、裏では人の悪口ばかり。まさに論語読みの論語知らずだね。 2. 知識だけあって行動できないときの自戒として 資料ばかり読んで満足してたけど、実際には何も行動していなかった。これじゃ論語読みの論語知らずだなと反省した。 3. 教養ぶっているだけの人への皮肉に あの人、古典の引用は得意だけど、自分勝手な振る舞いばかり。論語読みの論語知らずって言葉がぴったりだよ。 似たようなことわざ 知行合一(ちこうごういつ):知識と行動は一体であるべき、という儒教の考え。対照的に出すと効果的です。 机上の空論:理屈ばかりで実用性のない考え。 使える場面 ビジネスで行動の伴わない提案を見たとき 教育や指導の場で「実践」の大切さを説くとき 説得力のない「口先だけ」の人への批判 自分への反省(内省的に使うと柔らかくなる) ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

渡りに船

 「渡りに船(わたりにふね)」は、 「困っているときやちょうど必要なときに、都合のよい助けや条件が現れること」 を意味することわざです。まさに川を渡りたいと思っているときに、ちょうど船が現れるような、好都合な展開をたとえています。 【使い道】 1. タイミングのよい助けに対して 「ちょうど困っていたところに先輩が来て手伝ってくれた。まさに渡りに船だった」 「資料作成で悩んでいたら、詳しい人が話しかけてくれた。まさに渡りに船だよ」 2. 思いがけず都合のよい状況になったとき 「引っ越しを考えていたら、友人がちょうど部屋を探してるって。渡りに船だ」 「希望していたプロジェクトに欠員が出て、参加できることになった。これは渡りに船」 3. 交渉や仕事の場面でも 「こちらの提案に乗ってくれるなんて、渡りに船の話だ」 「相手も人材を探していたようで、こちらの紹介が渡りに船だったみたいです」 4. 文章やスピーチの中で 「思いがけない縁や出来事が、人生の大きな転機になることがあります。渡りに船とは、まさにそんな瞬間を表す言葉でしょう」 【まとめ】 「渡りに船」は、好都合な展開や援助が得られたときに使う 会話・ビジネス・文章のどんな場面でも活用できる便利な表現 うれしい偶然や運のよさを強調したいときに効果的 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

渡る世間に鬼はない

 「渡る世間に鬼はない(わたるせけんにおにはない)」ということわざは、世の中には良い人が多い、他人を信じて行動すれば、悪いことばかりではないという意味です。使い道としては、主に人々が他人に対して疑いや警戒心を持っているときに、安心させるために使うことができます。 【使い道】 他人に対して疑いを持っている人への励まし 「世の中には悪い人もいるけど、渡る世間に鬼はないって言うし、きっと信じればいい人に出会えるよ。」 困っている人を助ける場面 「あなたが困っているなら、誰かが助けてくれるよ。渡る世間に鬼はないって言うし、心配しないで。」 相手の信頼を促す 「少し怖いかもしれないけど、心配しないで。世の中には助けてくれる人がたくさんいるから、渡る世間に鬼はないんだよ。」 相手が疑っているときに安心させる 「あまり心配しないで。世の中には親切な人がいっぱいだから、きっと良い結果が待ってるよ。渡る世間に鬼はないから、信じて進んでみよう。」 世の中の良さを強調する 「確かに困難もあるけれど、やっぱり世の中にはたくさん良い人がいるよね。渡る世間に鬼はないって、私たちは信じているから、安心して生きていけるんだ。」 【短編ストーリーに使う例】 タイトル:信じる力 若い女性、花子は新しい街で一人暮らしを始めた。最初は、知らない場所での生活に不安がいっぱいだった。新しい仕事場でもなかなか馴染めず、孤独を感じることが多かった。ある日、駅で財布を落としてしまい、困っていたところ、見知らぬ男性が財布を拾って届けてくれた。 「ありがとうございます…でも、どうしてこんなことを?」 「世の中、悪い人ばかりじゃないよ。渡る世間に鬼はないって言うだろ?」 その言葉に、花子は心が温かくなり、少しずつ街に馴染むことができた。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

笑う門には福来たる

 「笑う門には福来たる(わらうかどにはふくきたる)」の使い道は以下のとおりです 絵文字や大文字なしでまとめました 【意味】 いつも笑いが絶えない家や人には自然と幸福がやってくるということ 明るい心や笑顔が運を引き寄せるという教え 【使い道】 励ましの場面  落ち込んでいる相手に  「つらいことがあっても前を向こう 笑う門には福来たるよ」 年賀状や挨拶の言葉に  「新年はいつも笑顔で 笑う門には福来たる一年になりますように」 子育てや教育で  子どもに前向きな姿勢を教えるとき  「にこにこしているといいことがあるんだよ 笑う門には福来たるって言うでしょ」 商売や接客の心得として  「お客様に笑顔で対応しよう 笑う門には福来たるって言うしね」 物語や文章の締めくくりに  登場人物が前向きに生きていく場面などに  「そう 彼女の人生には これからきっと福が訪れる 笑う門には福来たる」 【特徴】 明るさや笑顔の大切さを伝えることわざ 日常生活の中で幅広く使える前向きな表現 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

ああ言えばこう言う

 ああ言えばこう言う(ああいえばこういう) ■ 意味 人の意見や指摘に、素直に従わず必ず言い返すこと。 相手の言葉に対して、何かと屁理屈や反論を返す態度を表します。 やり取りがかみ合わない、口答えばかりする人に対してよく使われる言い回しです。 ■ 解説 家庭・職場・学校など、あらゆる場面で使われる日常表現です。 特に子どもや部下など、注意された相手が反抗的な態度を取るときによく言われます。 話し合いではなく、言い合いになりがちな会話の傾向を指します。 ■ 用例 「この子は本当に、ああ言えばこう言うんだから!」 「部長に意見されたけど、ついああ言えばこう言う感じになってしまった…」 ■ 類義語 揚げ足を取る 口ごたえする 言い負かす 屁理屈をこねる ■ 短編掌編小説:『ああ言えばこう言う』 登場人物: 美咲(高校生、負けず嫌い) 和也(同級生、冷静タイプ) 本文: 「だから、その問題の解き方はこうだって言ってるじゃん」 美咲はプリントを机に叩きつけた。 和也は眉一つ動かさず、静かに言った。 「でも先生が言ってた方法のほうが、シンプルじゃない?」 「シンプルすぎて応用効かないよ。見て、この裏技!」 「うーん。でも公式の意味をちゃんと理解したほうが――」 「もういい!あんたってほんと、ああ言えばこう言う!」 「それ、君の台詞だと思うけど」 「……うっさい!」 ふくれっ面の美咲の頬が、すこしだけ赤かった。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

会うは別れの始め

 会うは別れの始め(あうはわかれのはじめ) ■ 意味 この世のすべての出会いには、必ず別れが訪れる運命にあるという無常観を表すことわざ。 人と人とが「会う」ということは、すでに「別れ」という未来へ向かって歩き出している―― そんなはかなさや物事の移ろいをしみじみと表現しています。 ■ 解説 この言葉は、仏教的な無常観にも通じています。 出会いの喜びの裏に、いつかやってくる別れの悲しみが隠れているという人生観。 その切なさや美しさから、詩・小説・歌詞・手紙などでしばしば使われます。 ■ 用例 「楽しかったけど、もうお別れか。会うは別れの始めって言うしな…」 「新学期、また新しい出会いがあるけれど、どれも会うは別れの始めなんだと思うと、胸が痛い」 ■ 類義語 会者定離(えしゃじょうり):出会う者は必ず別れる 諸行無常:すべてのものは常に変化し、永遠ではない 逢うは別れの初めなり(文語体) ■ 短編小説:『春の終わりに』 あらすじ(プロット) 大学卒業の日、優人と沙耶は桜並木の下で別れの約束を交わす。 四年間、同じキャンパスで笑い合い、泣き合い、恋人同士だった二人。 しかし、卒業後の進路はバラバラ。 優人は大阪、沙耶はロンドンへ――。 沙耶が呟いた。「会うは別れの始めって、本当なんだね」 優人は黙ってうなずいた。 「でもさ、別れの終わりは、また会う始まりかもしれないだろ?」 二人は笑い、最後にもう一度だけ手を繋いだ。 花びらが散って、風に流れていった。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

青菜に塩

 青菜に塩(あおなにしお) ■ 意味 元気だった人が急にしょげてしまう様子や、意気消沈しているさまを表すことわざです。 青菜(葉野菜)に塩をふるとしんなり萎れるように、気落ちして元気をなくす姿をたとえています。 ■ 解説 この表現は、主に人の態度や表情の変化について使われます。 たとえば、明るく振る舞っていた人が、ひと言で傷ついたり、落ち込んだりしたときなどです。 現代でも、日常的に会話や文章に使われています。 ■ 用例 「あんなに張り切っていたのに、注意された途端、青菜に塩だね」 「試合に負けた子どもたちは、みんな青菜に塩の顔をしていた」 ■ 類義語 肩を落とす 泣きっ面 元気がない 意気消沈 ■ 短編小説:『青菜に塩』 あらすじ(プロット) 小学五年生の直人は、クラスの劇で主役に抜擢され、大喜びしていた。 自宅でも台詞の練習を繰り返し、両親も応援してくれていた。 しかし、ある日、担任の先生から「やっぱり演技力を考えて配役を変える」と言われ、直人はあっさり脇役に回されてしまう。 それ以来、直人は目に見えて元気をなくし、放課後の練習にも身が入らなくなった。 その様子を見た母が、晩ごはんの青菜のおひたしを箸でつまみながら言う。 「……あんた、まるで青菜に塩やなぁ」 直人は黙ってうなずき、そしてゆっくりと言った。 「しょっぱいよ。すごく」 けれど次の日、同じ脇役の友達が「一緒に頑張ろうぜ」と声をかけてきた。 その瞬間、直人の心に少しだけ塩が溶けて、温かい味がした――。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

青は藍より出でて藍より青し

 青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし) ■ 意味 **「青色の染料は藍草から作られるが、その青は藍よりも美しい青になる」**という故事から、 弟子が師を超える、後進が先達を上回るという意味で使われることわざです。 ■ 出典 中国・戦国時代の思想家「荀子(じゅんし)」の言葉に由来します。 原文:「青は藍より出でて藍より青し、氷は水これをなして水よりも寒し」 ■ 解説 原材料(藍)よりも美しい青が染まるように、学んだ者がその教えを極め、やがて師をも上回ることがあるという教訓。 また、若い世代が古い世代を超える希望や期待を込めて使われることもあります。 ■ 用例 「師匠もびっくりしてたよ、君の技術は青は藍より出でて藍より青しだってさ」 「教え子に負けるのは悔しいが、うれしいもんだ。まさに青は藍より出でて藍より青しだな」 ■ 類義語 弟子が師を超える 氷は水より寒し(同出典) 教え子に追い抜かれる ■ 短編小説:『藍より青く』 あらすじ(プロット) 陶芸家の中條は、伝統を重んじる職人として名高く、多くの弟子を育ててきた。 その中でも一番期待していたのが、若い女性弟子・春香だった。 春香は師の技を忠実に学ぶ一方で、独自の色彩感覚と感性を持ち、次第に師の作風とは違う道を歩み出す。 ある日、春香の作品が国際工芸展で大賞を受賞し、「師・中條の流れを汲みながらも、それを凌駕する新風」と絶賛された。 記者に感想を聞かれた中條は、ゆっくりと口を開いた。 「……あの娘は、藍から出た青や。だがもう、藍よりも青いな」 その言葉をテレビで見た春香は、静かに涙をぬぐいながらも、自分の器に藍の釉薬を塗り重ねていた――。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社

秋の扇

 秋の扇(あきのおうぎ) ■ 意味 秋になって使わなくなった扇のこと。 転じて、「一度は寵愛されたが、時が過ぎて捨てられた女性のたとえ」として使われます。 また、物や人の栄華・関心が移り変わりやすいことの象徴でもあります。 ■ 解説 夏の間は重宝された扇(おうぎ)も、涼しくなれば使い道を失い、やがて忘れ去られます。 そのように、「時節が過ぎると用済みとされる物や人のはかなさ・無情」を象徴する言葉として使われてきました。 とくに、恋愛の比喩として使われることが多いです。 ■ 用例 「あの人も、社長が交代してからは秋の扇だね」 「一夜の寵愛も、秋の扇のように風に消えた」 ■ 類義語 昨日の花 去年の雪 見捨てられた恋人 ■ 短編小説:『秋の扇』 あらすじ(プロット) 舞妓として名を馳せた「千代」は、かつて数多の男たちの心を惑わせた花のような存在だった。 しかし時は流れ、若い舞妓が次々と台頭し、彼女の出番は徐々に減っていった。 ある秋の日、馴染みだった実業家・吉岡が久しぶりに店を訪れる。 千代は懐かしさよりも、なぜ今さらという思いを抑えられず、静かに言った。 「秋の扇のような女に、また風は吹くんどすか?」 吉岡は言葉に詰まり、黙って盃を置いて去っていった。 残された千代は、扇を一つ取り出し、自分の手でそっと畳んだ。 「華やかさは、風が吹いてこそ。あとは、置かれるだけ――」 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

秋の日は釣瓶落とし

 秋の日は釣瓶落とし(あきのひはつるべおとし) ■ 意味 秋の日は、井戸の釣瓶(つるべ=桶)が落ちるようにあっという間に暮れてしまうという意味。 転じて、「物事の移ろいが早く、油断していると終わってしまう」ということのたとえにも使われます。 ■ 解説 井戸の釣瓶は、重力でストンと一気に落ちる。その様子に、秋の夕暮れの早さを重ねたことわざです。 秋は日没が急に早くなるため、昔の人は驚きとともにこう表現しました。 ■ 類義語 秋の夕暮れ 光陰矢の如し 一日千秋 ■ 用例 「まだ3時なのにもう暗い。秋の日は釣瓶落としだな」 「決断を先延ばしにしていたら、季節が変わってたよ。まさに秋の日は釣瓶落としだ」 ■ 短編小説:『落日、ひとしずく』 あらすじ(プロット) 東京で働く若手会社員・佐伯は、過労と失恋で心を病み、故郷の信州に帰る。 夕暮れの野原を歩く中、彼は幼なじみの紗耶に再会する。 紗耶は病を抱えながら、静かに絵を描き続けていた。 二人は言葉少なに日々を過ごし、少しずつ心が通う。 ある秋の夕暮れ、彼女がぽつりと言う。「秋の日は釣瓶落とし。何もかも、早すぎるのよ」 数日後、彼女はこの世を去る。 残されたスケッチブックには、一面の金色のススキ野原と、「あなたと過ごせた秋、ありがとう」と書かれていた。 佐伯は再び東京に戻り、彼女の描いた夕暮れの絵を部屋に飾る。 それは、釣瓶のように早く過ぎた季節の、何よりも重い記憶だった。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社

悪事千里を走る

 悪事千里を走る(あくじせんりをはしる) ■ 意味 悪いことほどすぐに世間に広まるということ。 善行はなかなか知られないが、悪事は瞬く間に遠くまで知れ渡るという皮肉な人の世の常を表したことわざです。 ■ 類義語 善事門を出でず、悪事千里を走る 悪名は無名に勝る(皮肉な名言) 火のない所に煙は立たぬ(悪い噂には根拠がある) ■ 由来 古代中国の故事に由来します。「善事は門を出ず、悪事は千里を走る」とも。 人の噂は、悪い方が面白がって広まりやすいため、このように言われます。 ■ 用例 「一度の過ちで会社をクビか……。悪事千里を走るっていうが、世の中って残酷だな」 「彼の不倫がすぐに噂になって……悪事千里を走るとはよく言ったもんだ」 ■ 短編小説:『千里の風』 あらすじ(プロット) 静かな村で評判の良い教師・高梨は、20年近く子どもたちに慕われていた。 ある日、村人のひとりが彼の旧友から「昔、窃盗で補導歴があったらしい」と耳打ちされる。 噂はまたたく間に広まり、高梨は学校を辞職に追い込まれる。 真相は、彼が少年時代に友人の罪をかばって罪を着たものだった。 しかし、真実が語られる頃には、すでに彼は村を去っていた。 数年後――。 かつての教え子たちが、教師を集める感謝の集いを開いた。 誰もが語る。「先生は、僕たちにとって“善事千里”の人だった」と。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

麻の中の蓬

 麻の中の蓬(あさのなかのよもぎ) ■ 意味 曲がりやすい蓬(よもぎ)も、真っ直ぐに伸びる麻の中で育てば自然と真っ直ぐになる、ということから、 良い環境にいれば、悪い性質の者も自然と良くなるという教訓です。 つまり、人は環境次第で良くも悪くもなるという意味のことわざです。 ■ 出典 中国の古典『荀子(じゅんし)』より。 「蓬は麻中に生ずれば扶けずして直し」 ■ 用例 「子どもを育てるには環境が大事だ。麻の中の蓬というじゃないか」 「悪かったあの子も、良い友達と付き合うようになって、まるで麻の中の蓬だな」 ■ 類義のことわざ 朱に交われば赤くなる(交友関係が人を変える) 習うより慣れろ(良い環境に慣れることで身につく) 桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す(徳ある者には自然と人が集まり、周囲が良くなる) ■ 短編小説:『麻の中の蓬』 あらすじ(プロット) 田舎町の不良少年・恭介は、何度も補導される素行不良の高校生。 母子家庭で育ち、周囲からは「どうせあいつは変わらない」と見放されていた。 しかし、東京から転校してきた優等生の圭吾と、彼の仲間たちとの出会いが、恭介の内面に少しずつ変化をもたらす。 圭吾は「人は、どこに根を張るかで育ち方が変わる」と語り、誰も見放さなかった。 恭介は徐々に勉強に向き合い始め、仲間に手を貸すようになる。 やがて自らも「支える麻」となることを決意し、数年後には地元で子どもたちに勉強を教える青年へと成長する。 最後に、町の教育委員会の講演でこう語る。 「僕は、蓬でした。でも麻の中にいたから、まっすぐになれたんです。」 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

頭の上の蝿も追えぬ

 頭の上の蝿も追えぬ(あたまのうえのはえもおえぬ) ■ 意味 自分のすぐ目の前にある、簡単に処理できそうなことすらできないほど頼りない様子、または極度に弱々しく無力な人間を表すことわざです。 たとえば、「人に助けを求めるどころか、頭の上にとまった蝿すら追い払えない」というほどの情けなさや無力さを皮肉的に表現しています。 ■ 用例 「あの課長は頭の上の蝿も追えぬような人で、トラブルが起きると部下任せだよ」 「頭の上の蝿も追えぬとは言わせないぞ。今回は自分で責任を取る!」 ■ 類似のことわざ 手も足も出ない(無力) 風の前の塵に同じ(力なく消え去る存在) 蟻の鳴くような声(か細く弱々しい声) ■ 小話・短編のアイデア タイトル:『蝿を追う日』 長年、誰からも「使えない」「頼りにならない」と蔑まれてきた市役所勤めの男・岡田。 住民の苦情にうまく対応できず、上司にも頭が上がらない。 ある日、机の上の書類に止まる一匹の蝿にすら、反応できない自分を「頭の上の蝿も追えぬ男」と実感する。 しかしある出来事をきっかけに、岡田は「自分にしかできない仕事」に目覚める。 人々が見逃すような、細かな問題をひとつひとつ解決していく姿は、やがて誰もが頼る「縁の下の力持ち」へと変わっていく――。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

悪貨は良貨を駆逐する

 悪貨は良貨を駆逐する(あっかはりょうかをくちくする) 意味 質の悪いものが、質の良いものを市場や社会から追い出してしまうこと。 本来は経済の理論ですが、人間関係や社会現象にもたとえられ、悪が善を駆逐するような事態を嘆く言葉として広く使われます。 語源と背景 16世紀のイギリスでトーマス・グレシャムが唱えた「グレシャムの法則」が元です。 **「額面が同じであれば、人々は質の悪い貨幣を使い、良い貨幣は貯め込んで使わなくなる」**という法則を、日本語ではこのことわざで表します。 例:金の含有量が多い硬貨(良貨)より、金の少ない硬貨(悪貨)を使いたがるため、良貨が市場から消えていく。 転用・比喩表現としての使い方 組織で、誠実な社員が追いやられ、ずる賢い人間が残る現象 芸術や文化の分野で、粗悪な娯楽や流行が本物の芸術を押しのける現象 SNSなどで、フェイクニュースが真実を隠す構造の批判 使用例 「最近のネットニュースは悪貨は良貨を駆逐するようなもので、真面目な記事が埋もれてしまう」 「社内の雰囲気も変わった。悪貨は良貨を駆逐するっていうけど、本当にその通りだ」 類語・対比表現 グレシャムの法則(同義) 小人閑居して不善を為す(質の悪い者がのさばる現象) 玉石混交(玉=良、石=悪の混在) 小説アイデア タイトル:『駆逐の街』 高度なAI技術を育む都市「アルゴラ」。 かつては革新と倫理が調和した理想都市だったが、あるときから安価で粗悪な模倣AIが溢れ始める。 本物の技術者たちは「非効率」「時代遅れ」として排除され、質の悪いアルゴリズムが人間の判断を乗っ取っていく。 研究者・サヤカは言う。「これは、まさに“悪貨が良貨を駆逐する”世界だ」と。 人間の価値はどこにあるのか? 本物と偽物が入れ替わる社会の終焉と希望を描く近未来ディストピア。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

圧巻

 圧巻(あっかん) 意味 多くの中で最もすぐれた部分。群を抜いて素晴らしい場面や作品。 文学、芸術、演劇、スポーツなど、さまざまな分野で「一番の見どころ」「最高潮の場面」として用いられます。 語源 もともとは中国・唐の時代の科挙(官吏登用試験)に由来。 詩文の答案をまとめた巻物(=巻)において、最も優れた答案を「圧巻(圧尾の巻)」として最後に置いたことから、「他を圧する優れたもの」の意味で使われるようになりました。 現代での使い方 スポーツ実況:「第3クォーターの逆転劇は今日の試合の圧巻だった」 演劇評論:「ラスト10分の独白はまさに圧巻」 映画や小説の紹介:「クライマックスの展開が圧巻」 類語 白眉(はくび) 真骨頂(しんこっちょう) 絶頂 名場面 使用例 「彼のピアノ演奏の圧巻は、やはりショパンのバラードだ」 「この展覧会の圧巻は、最奥に飾られた一点の油絵だった」 「物語終盤の戦いは、まさに圧巻の演出で、読者の息を呑ませた」 小説アイデア タイトル:『圧巻』 無名の新人作家・志村悠が文芸賞に応募した長編小説は、選考会で賛否が分かれた。 大御所審査員の一人は酷評するが、編集者の一人がふとつぶやく。 「この第十章……圧巻じゃないか」 平凡な導入、退屈な中盤、だが終盤に突如として現れる“覚醒”の章に、全員の評価が一変する。 そこに隠されていたのは、文章の技巧ではなく、作者の生き様そのものだった――。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

羹に懲りて膾を吹く

 羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく) 意味 一度の失敗に懲りすぎて、必要以上に慎重になりすぎること。 熱い羹(あつもの:熱い汁物)を食べて火傷した人が、冷たい膾(なます:酢の物)までフーフーと冷ましてから食べる様子から来ている。 語源と背景 羹(あつもの)は加熱された料理、膾(なます)は生の冷菜。 一度の火傷経験から、もう火の気のないものにも過剰に用心する様子を風刺した故事成語です。 もとは中国の古典『韓非子』に見られます。 ニュアンス 失敗を教訓にするのは良いが、極端な臆病さに転じてしまう様子 過去のトラウマや恐怖に縛られて柔軟な判断ができなくなる ときに滑稽さや皮肉が含まれる表現 類似表現 虎穴に入らずんば虎子を得ず(対比的表現) 石橋を叩いて渡る(意味は近いが肯定的) 前門の虎、後門の狼(慎重になる原因の別表現) 使用例 「前回のプレゼンで失敗して以来、彼は全然発言しなくなった。羹に懲りて膾を吹いてるんだな」 「あの恋愛で懲りて、もう誰にも心を開かないなんて。羹に懲りて膾を吹くようじゃ、幸せが逃げるよ」 小説アイデア タイトル:『なますを吹く女』 編集者・涼子は、かつて担当した新人作家の盗作騒動で、社内からも信用を失った。 それ以来、彼女はどんな新人にも厳しく、疑いの目を向けるようになった。 そんなある日、現れたのは、天才的な筆力を持つ無名の青年・相馬。 どれほど魅力的な原稿を持ってきても、涼子は素直に信じることができない。 それは、過去の火傷がまだ癒えていないからだった―― “なますを吹く女”が再び信じることを覚えるまでの、再生と赦しの物語。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

後足で砂を掛ける

 後足で砂を掛ける(あとあしで すなをかける) 意味 恩を受けた相手に、別れ際にひどい仕打ちをすること。 世話になった人や場所に対して、立ち去るときに悪口を言ったり、裏切ったりして去ることを指す。 語源 馬や犬などが、去り際に後足で砂を蹴り上げる様子から生まれた表現。 「面倒を見てもらったのに、別れ際に泥を塗るような真似をする」 そんな裏切りや非礼な態度を非難する言葉です。 ニュアンス 恩知らず・裏切り・礼儀知らず を非難するときに使う 特に「去り際の態度が悪い」ことが重要 職場・人間関係・恋愛など幅広い場面で使える ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

後の祭り

 後の祭り(あとのまつり) 意味 手遅れでもう取り返しがつかないこと。 行動すべき時を逃してしまい、今さら何をしても無意味になってしまった状態。 語源 本来の祭りが終わったあとの“後祭(あとまつり)”は、 華やかさも賑わいもない。 つまり「本番のタイミングを逃してしまったら、何をしても遅い」という意味へ転じた。 ニュアンス 後悔・未練・タイミングを逃す痛み 「今さら悔やんでもどうにもならない」と突き放す響き 場合によっては諦めや皮肉も込められる 類似表現 覆水盆に返らず 後悔先に立たず 喉元過ぎれば熱さを忘れる(意味がやや異なるが、対応表現として) 使用例 「あの時、謝っておけば…」「もう後の祭りだよ」 「締切は昨日まででした。後の祭りです」 「本気になった時には、彼女はもう遠くへ行っていた。まさに後の祭りだった」 小説アイデア タイトル:『後の祭り』 かつての親友・真琴と口論して以来、10年間一度も会っていない佐知子。 ある日、真琴の訃報が届く。 机の奥から見つけたのは、差出人不明のハガキ──それは「彼女」からのものだった。 「会いたい」「また笑いたい」 過ぎ去った日々、返せない言葉、もう開かない扉。 “もう遅い”と知りながら、それでも佐知子は最後の約束を果たそうと動き出す。 “後の祭り”に祈りを込める、静かな贖罪の物語。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社

痘痕もえくぼ

 痘痕もえくぼ(あばたもえくぼ) 意味 恋は盲目。好きになってしまえば、相手の欠点すら魅力的に見えるというたとえ。 「痘痕(あばた)」とは、天然痘などの跡で顔にできる凹みや傷のこと。 それすら「えくぼ(=愛らしい微笑みの象徴)」に見えてしまうほど、 恋に落ちた人は客観的な判断を失うことを表します。 ニュアンス 盲目的な恋愛の状態を表現 ポジティブにもネガティブにも使える 恋の美化・フィルター越しの愛 冷静な人間関係のバランスを失っている様子 類似表現 恋は盲目 惚れた弱み 好きこそ物の上手なれ(やや派生的) 使用例 「どうしてあんな人を好きになるの?」「痘痕もえくぼってやつさ」 「彼女、彼の借金癖すら“頼られてる気がする”って…完全に痘痕もえくぼだな」 「娘はあの男のことを信じきってる。親の目から見れば痘痕もえくぼだけどね」 小説アイデア タイトル:『えくぼ』 平凡なOL・沙織は、誰もが「やめたほうがいい」と言う風来坊・陸を愛していた。 借金癖、無職、気まぐれな言動── だが沙織の目には彼が「自由な魂を持つ詩人」にしか見えなかった。 やがて周囲との関係が壊れ、職も住まいも失う沙織。 「それでもいい、私は彼を信じる」 …果たしてそれは愛か、依存か、幻か。 すべてを失ってなお見える“えくぼ”の正体とは? 盲目的な恋の果てを描く心理ドラマ。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

危ない橋を渡る

 危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる) 意味 危険を承知で思い切った行動を取ること。 橋が壊れそうで落ちる危険があると分かっていながら、 それでもなお渡ろうとする行動から転じて、 成功や利益を狙って、あえてリスクを冒すことを意味します。 ニュアンス 主に 大胆・無謀・賭けに出る という文脈で使われる 勇気ある行動とも、軽率な判断とも受け取れる場合あり 結果がどうなるか分からない、危うい挑戦に対する評価 類似表現 背水の陣を敷く 命知らずの挑戦 一か八か 危険を承知で踏み出す ハイリスク・ハイリターン 使用例 「その発言はまずいぞ。危ない橋を渡るようなもんだ」 「今回の交渉、相手が怒れば契約破棄だ。完全に危ない橋を渡ってるな」 「彼の起業は無謀だった。でもあえて危ない橋を渡って夢を掴んだ」 小説アイデア タイトル:『渡橋(ときょう)』 主人公・真咲は銀行マン。 社内の不正に気づき、告発か沈黙かの選択に追い込まれる。 告発すれば自分のキャリアも家族も危うい。 黙っていれば、罪に加担することになる。 周囲は口をつぐみ、彼女だけが“危ない橋”を渡る決断を迫られる。 そして真咲は一通の封書を、内部告発窓口に送る──。 **「自分の正義に足場はあるのか」**を問う社会派ヒューマンドラマ。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

虻蜂取らず

 虻蜂取らず(あぶはちとらず) 意味 欲張って両方を狙った結果、どちらも手に入らないことのたとえ。 虻(あぶ)も蜂(はち)も捕ろうとして、両方とも逃してしまう── つまり、中途半端な欲や行動が結局すべてを失うという戒めです。 ニュアンス 二兎を追う者は一兎をも得ずと似た意味。 計画性のなさ・優柔不断・焦りなどが裏目に出るパターンに使われます。 類似表現 二兎を追う者は一兎をも得ず 欲張りは損をする あれもこれもは身を滅ぼす 船頭多くして船山に登る(意思の分散) 使用例 「副業と投資に手を出して、どっちも赤字。まさに虻蜂取らずだよ」 「あれもこれもって彼女にアプローチして、全部失敗してた。虻蜂取らずってわけさ」 「欲張りすぎると虻蜂取らずになるぞ。まずは一つに集中しな」 小説アイデア タイトル:『あぶ、はち、とらず』 主人公は30代の営業マン・田島。 昇進目前の彼は、外資系からのスカウトも受けており、 どちらを選ぶか迷っていた。 一方で副業で動画配信を始め、さらに投資も手を出す。 だが、仕事に集中できず信用を失い、 副業もうまくいかず、投資も大損。 気づけばすべてを手放していた── 失ったものの大きさに直面し、 「次は一つに集中する」と誓う田島の再起の物語。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

雨垂れ石を穿つ

 雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ) 意味 わずかな力でも、根気強く続ければ大きな成果を生むというたとえ。 やわらかい雨垂れでも、長い時間をかけて落ち続ければ、 かたい石に穴をあけることができることから。 ニュアンス 努力・継続の力を称える表現 短期的な結果ではなく、地道な努力の大切さを説く 主に「勉学」「修行」「鍛錬」「信念を貫く」などの文脈で使われる 類似表現 継続は力なり 石の上にも三年 塵も積もれば山となる 忍耐は成功の母 小さな一歩が偉業につながる(英語:Little strokes fell great oaks) 使用例 「毎日10分でも練習すれば、いずれ上達する。雨垂れ石を穿つだよ」 「あの作家も、最初は全く売れなかったけど書き続けた。雨垂れ石を穿つってやつだ」 「一日に数語ずつ覚えるだけでも、1年経てば違う。雨垂れ石を穿つ精神が大事」 小説アイデア タイトル:『雫の音』 主人公は小さな離島に暮らす、引っ込み思案な中学生・海翔(かいと)。 夢は天文学者だが、周囲には言い出せず、 勉強道具も満足にそろわない。 ある日、島に訪れた老観測者から、 「雨垂れ石を穿つ」という言葉を聞く。 たとえ今は小さな努力でも、 それを毎日続ければ、どんな夢も掴めると。 少年は空を見上げながら、 ひとつひとつ星の名前を覚えていく── 小さなノートに描いた夢が、やがて夜空に届くまで。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

網呑舟の魚を漏らす

 網呑舟の魚を漏らす(あみどんしゅうのうおをもらす) 意味 「網が大きくても、船を呑み込むような巨大な魚は捕まえられず逃してしまう」というたとえ。 転じて、 制度や法律が完璧に見えても、重大な者(事)が抜け落ちることがある 有能な人物や重要な存在を見落としてしまうことがある という警戒や批判のニュアンスを持つ言葉です。 出典 『韓非子』より。 「法網(法律や制度)」が万全のようでいても、 それにおさまりきらない大物(悪人・有能者)を取り逃がすことがあるという古典的な警句です。 類似表現 法の抜け穴 鳥を逃がして羽を惜しむ 目こぼし 大魚を逸する(たいぎょをいっする) 使い方の例 「この監査体制じゃ、網呑舟の魚を漏らすようなものだよ」 「優秀な若者ほど型にはまらない。網呑舟の魚を漏らす危険がある」 「厳しい規制にもかかわらず、黒幕だけは捕まらなかった。まさに網呑舟の魚だな」 小説アイデア タイトル:『網の目』 舞台は、近未来の監視国家。 市民はAIによって常時モニターされ、 犯罪はほとんど未然に防がれる。 だが、そんな中で連続爆破事件が発生。 犯人の痕跡はシステムに一切残らない。 捜査官の結城は気づく──「このシステムには、“舟を呑む魚”がすり抜けられる穴がある」と。 やがて浮かび上がるのは、 「規則の番人」が隠し持っていた最大の盲点だった。 このことわざは、制度や権力構造、情報社会の限界、人間の想像力の外側にある存在などを描くのに適しています。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

雨降って地固まる

 雨降って地固まる(あめふってじかたまる) 意味 トラブルや困難の後に、かえって物事が良い方向に落ち着くことのたとえ。 雨が降った直後は地面がぬかるむが、やがて乾いて固まり、より丈夫になる。 それと同様に、揉め事や試練を経て、人間関係や物事がより強固になるという意味です。 ニュアンス 人間関係の衝突のあと、絆が深まる 会社やチームのトラブル後、結束が固くなる 災難が結果的に良い方向へ転ぶ など、一度の混乱が結果的に良い変化をもたらす場合によく使われます。 類似表現 災い転じて福となす 禍福は糾える縄のごとし 怪我の功名 ピンチはチャンス(英語表現) 使い方の例 「夫婦喧嘩もしたけど、今は前より仲がいい。雨降って地固まる、だね」 「社内の意見対立も、結果的に新体制につながった。雨降って地固まるとはこのことだ」 「失敗の経験があったから、今の自信がある。まさに雨降って地固まる」 小説アイデア タイトル:『雨のあと』 老舗和菓子店を営む兄弟。 職人気質の兄と、改革を望む弟は衝突を繰り返す。 やがて店は火災で半焼。 跡継ぎ問題にまで発展するが、 瓦礫の中で見つけた亡き父の手紙が二人の心を変える。 再建の道を歩む中で、 兄弟は初めて本音で語り合う。 最後に開店した新店舗の前に降った雨は、 二人の未来を静かに照らす。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

鮑の片思い

 鮑の片思い(あわびのかたおもい) 意味 相手に思いが伝わらない一方的な恋、または、ひたむきな片思いのたとえ。 鮑(あわび)は貝殻の片側しかなく、もう一方は岩などにぴったりくっついていることから、 **「一方だけが想いを寄せている状態」**を象徴します。 ニュアンス 主に切ない恋愛を詠むときや、 恋が報われない、片思いのまま終わるような状況 で使われます。 ただし、悲恋に美しさや純粋さを見出す詩的な表現でもあります。 類似表現 片思い 思い人 恋は盲目 徒らに恋す(いたずらにこいす) 想い人(おもいびと) 使い方の例 「彼の鮑の片思いは、十年越しだった」 「鮑の片思いのまま、彼女は遠くへ嫁いだ」 「まるで鮑の片思いのように、彼は誰にも知られず彼女を見守っていた」 小説アイデア タイトル:『鮑の片思い』 長崎の海辺の町。 幼い頃に出会った少女・琴葉に、ずっと恋をしていた少年・浩太。 彼女は何も気づかず、都会へ出ていく。 十年後、彼は漁師となり、鮑漁に出て、 「片側だけの貝殻」を見るたび、彼女を思い出す。 ある日届いた一通の手紙──それは、結婚報告ではなく、別れの知らせだった。 潮騒の中に沈む、届かなかった愛の物語。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

鞍上人なく鞍下馬なし

 鞍上人なく鞍下馬なし(あんじょうひとなく あんかうまなし) 意味 人馬一体となって、まるで人も馬も存在しないかのように完全に一つになっている様子のたとえ。 乗っている人が意識されず、馬もその存在を主張しない。 つまり、それぞれが完璧に調和し、動きに一切の無理・無駄がない状態を表す表現です。 出典・由来 中国・唐代の詩人・杜甫の詩にある表現で、 名人が馬に乗っている様子を詠んだ句とされています。 原典の表現は「鞍上人なく、鞍下馬なし(鞍上に人無く、鞍下に馬無し)」という形です。 ニュアンス 「達人」「名人芸」「自然体」の境地。 技術の極致であり、意識すら不要なほどに体得していることを示す。 武道や芸道、芸術などの分野でしばしば使われる称賛語。 類似表現 無我の境地 自然体 極意を得る 技の冴え 人馬一体(より一般的な表現) 使い方の例 「彼の弓術はまさに鞍上人なく鞍下馬なし。無駄が一切ない」 「舞台での彼女の演技は、鞍上人なく鞍下馬なしの域に達していた」 「それはただの演奏ではない。鞍上人なく鞍下馬なしの音楽だった」 小説アイデア タイトル:『鞍上に人なく』 老境の剣士・成島は、若き武道家から試合を申し込まれる。 成島は剣を抜かない。抜く前に勝負がついてしまうからだ。 弟子を持たず、名声をも求めず、ただ技を磨いてきた男。 その静かな姿に、若者は「鞍上に人なく、鞍下に馬なし」と称賛する。 物語は、**“極意とは何か”**を問う剣の静寂を描く禅的な短編。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

石が流れて木の葉が沈む

 石が流れて木の葉が沈む(いしがながれてこのはがしずむ) 意味 常識や自然の理(ことわり)が逆転し、ありえないことが起こるたとえ。 本来は沈むはずの石が流され、軽くて浮かぶはずの木の葉が沈む── つまり、道理に反する世の中や、物事の逆転現象を表します。 ニュアンス このことわざは、 社会の不条理 弱者が勝ち、強者が負ける逆転劇 実力に見合わない結果(無能が出世し、有能が埋もれる) などの文脈で使われます。 風刺的な響きや、世の中の不安定さ・非常識さへの嘆きも含まれています。 類似表現 下剋上(げこくじょう) 世も末 本末転倒 理不尽な世の中 使い方の例 「石が流れて木の葉が沈むようなことばかりで、正直者がバカを見る」 「この会社の人事は、まさに石が流れて木の葉が沈むだ」 「実力よりも口のうまさで出世するなんて、石が流れて木の葉が沈む世の中だよ」 小説アイデア タイトル:『木の葉の沈む町』 地方都市で名門高校に通う優等生の直人。 ある日、勉強そっちのけの不良・瀬尾が、生徒会長に選ばれ、 成績不振のくせにテレビの特集で「地元のヒーロー」にまでなってしまう。 戸惑う直人は、やがてその裏に政治家の息子という「肩書き」があることを知る。 正しさとは何か? 努力は報われるのか? “石が流れ、木の葉が沈む”ような学校と町に抗う物語。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社

石に漱ぎ流れに枕す

 石に漱ぎ流れに枕す(いしにくちすすぎ ながれにまくらす) 意味 自分の誤りを正さず、無理にこじつけて言い逃れること。屁理屈を押し通す様子。 あるいは、自説に固執して間違いを認めない態度を批判的に表すことわざです。 由来 『晋書(しんじょ)』にある故事から来ています。 中国の戦国時代、儒者・孫楚(そんそ)が「流れに口をすすぎ、石に枕す」と言うべきところを、 誤って「石に口をすすぎ、流れに枕す」と言ってしまいました。 本来の意味とは正反対の表現になってしまったのですが、 孫楚はその誤りを認めず、「石で口を磨き、流れの音を枕にする」と強引なこじつけで言い逃れたという話です。 これが転じて、「誤りを素直に認めず、屁理屈をこねる」ことを指すようになりました。 ニュアンス 明らかな間違いを認めない人への皮肉として使われます。 インテリぶって屁理屈を言うような態度に対してもよく使われます。 類似表現 屁理屈をこねる 負け惜しみ 強弁を張る 自説に固執する 使い方の例 「彼のあの説明は、どう考えても『石に漱ぎ流れに枕す』だよ」 「間違いを認めれば済むのに、石に漱ぎ流れに枕すような言い訳ばかりだ」 「石に漱ぎ流れに枕すとはまさにこのこと。あそこまで強引だと逆に感心する」 小説アイデア タイトル:『石に漱ぐ男』 大学教授の九鬼は、論理学の権威。 だがある日、論文に重大な誤りが見つかる。 彼はそれを認めず、巧みな話術と屁理屈で押し通そうとするが、 そのうちに自分でもどこまでが真実か分からなくなっていく。 真理とは何か、理屈とは何か。 一人の「言い逃れ」が、学会全体を巻き込む騒動へと発展する。 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社 

石の上にも三年

 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん) 意味 「冷たい石の上でも三年座れば暖まる。だから、どんなにつらくても辛抱して続けていれば成果が出る」ということわざです。 つまり、「忍耐強く続ければ、報われる日が来る」という教えです。 由来 石は冷たく硬いものの象徴ですが、そこに三年も座っていれば、 やがて体温で温まり、座るのも苦でなくなる、というたとえからきています。 どんな苦境も、我慢と継続が大切だという考え方が根底にあります。 ニュアンス 継続の大切さを説く言葉として、教育や人生訓、仕事の場面でよく使われます。 「結果が出ない時期」にこそ、堪えることの価値を示します。 類似表現 継続は力なり 雨垂れ石を穿つ 石に立つ矢 千里の道も一歩から 使い方の例 「つらいのは分かるけど、石の上にも三年って言うだろ。まずは三年、やってみなよ」 「修業がきつくても、石の上にも三年と思って耐えてきた」 「結果が出るまでに時間がかかったけど、石の上にも三年っていうしな」 小説アイデア タイトル:『三年目の春』 東京に出てきたものの、夢も金も尽きてカフェの住み込みバイトでなんとか生きている千尋。 音楽で食べていくと決めたが、誰にも認められない日々。 実家の親からは「そろそろ戻ってこい」と電話がくる。 だが、ちょうど3年目の春、 カフェでたまたま歌った1曲が、居合わせたプロデューサーの耳に止まる──。 「やっと石の上が、少しだけ温かくなった気がした。」 ことわざから小説を執筆
#田記正規 #読み方 #家族 #実家 #会社